バターン!!
「ネネちゃん!!」
「こらぁーーー!うるさいぞ小僧!!」
自分でも驚くくらい思いっきりドアを開けてしまって、ドアが開いたままの隣の部屋にいる先生に怒鳴られてしまった。
「ひーーすいませんっ;」
カーテンが閉まっているのは奥のベッドだけだった。
だから迷うことなくそのカーテンを開けた。
バッ!
「ネネちゃん大丈…」
そこにいたのはネネちゃんだけではなかった。
むしろ、僕の角度からはネネちゃんの顔は見えなかった。
僕の声に振り返るのはベッドに跨って乗っているしんちゃん。
そしてその奥に見える人こそ、僕が心配していたネネちゃんだった。
「「…。」」
しんちゃんの手は傷だらけのネネちゃんの頬に。
包帯が巻かれているネネちゃんの腕はしんちゃんの首に回してあった。
それは誰がどうみても…。
「ひーー!二人ともベッドの上で何やってんのー!?;」
「お!マサオ君ー。ネネちゃんの事故現場のお掃除してくれたんだって?
ありがとー!マサオ君もしっかりした男になってきたな★」
事故現場って…。
それでも、僕が今見たことは特に気にしない風のしんちゃん。
打って変って、笑っているのに何故かその表情からは不機嫌さしか感じ取れないお姫様。
「マサオ君後始末してくれて本当ありがとう。じゃあね?」
さっき倒れた時は本当に漫画のヒロインみたいだったのに。
今となっては鬼の形相だ。
来たと同時に別れを告げられるなんて…。
イイところを邪魔しちゃったからってひどいよー。
あれ?
そういえば…あんなことしていたってことは…?
「おー俺達付き合うことになっちゃった★」
まったくしんちゃんは呑気に報告するなー。なんて思ってネネちゃんを見たら、珍しく真っ赤な顔をしてる。
そんな女の子らしいネネちゃんの顔を見たら、何でも許してあげたくなっちゃった。
「そっか。おめでとう!じゃあ僕お昼ご飯食べてないから教室帰るね。
ネネちゃんはいつ病院行くの?」
その問いに答えたのは先生だった。
「そろそろ行くよー。」
いつの間にか近くまで来ていたようだ。
「野原は桜田を車まで運んで行ってくれないか?車イスを出すのが面倒だから。
そしたらついでに病院までついて行かせてやる!」
「ほっほーい!
ラッキー★ネネちゃんと一緒に授業さぼれるー♪」
ネネちゃんと顔を合わせるしんちゃんは、いつもより少し優しい表情だった。
ネネちゃんはというと、しんちゃんといられることが本当に嬉しいって全面に出てた。
ネネちゃんのそんな表情見たら、なんだか僕まで嬉しくなっちゃった。
先生は僕にも付いてくるかどうかを聞いてくれたけど、断った。
「午後の授業、ネネちゃんの分もノート取らないといけないので。」
「えーマサオ君、俺の分もー!」
「しんちゃんはクラス違うだろ!」
「ケチー。」
ぶーぶー文句を言うしんちゃんを放って、保健室を出た。
よかったね。
よかったね、ネネちゃん。
チョコ渡せたんだね。
しんちゃんがしゃべりながらも片時も離さず持ち続けていたあのしわだらけの紙袋。
それは今朝はネネちゃんが持っていた紙袋。
久しぶりに見たネネちゃんのあんなに幸せそうな顔。
しんちゃんという太陽に照らされて、美しく咲く花になればいい。
どうか、僕の願いがかなうのならば。
二人の未来に幸多からんことを。
お、おまけなのにこんなに長くなってしまった(・Д・;)
書きたかったのは序盤の、二人のいちゃいちゃをマサオ君が目撃する所なんですけど。
マサオ君にはネネちゃんの幸せを願っていてほしいな、と。
はい。