大学2年生になると会う頻度は随分と減った。
だけどその分俺たちは深く深く愛し合った。
俺がネネちゃんを求めるのと同じくらいにネネちゃんも俺を求めてくれた。
それだけで俺の不安は拭われる。
でもネネちゃんは言うんだ。
「しんちゃんも他の女の子に目を向けてみなさい」
って。
なんでそんな哀しいことを言うのか聞いてみた。
だって俺にはネネちゃんがいればその他の煩わしいものは必要ないんだ。
ネネちゃんのにおい、やわらかさ、くせになるその性格、その存在全てが俺には必要不可欠なんだぞ。
「ネネじゃない、他の女の子から得るものは多いと思う。女の子は考えることが好きだから、いろんな子と関わって損はないわよ。」
それにネネがあまり会えなくなっちゃったから寂しがりなしんちゃんが心配なのよ、だって。
俺は大丈夫だぞ、って言ったら呆れ顔でしょうがないわね、なんて苦笑いするんだ。
聞き分けがなくてごめんね。
でもこれだけは絶対譲れないんだぞ。
早く気付ければよかったな。
今まで他の女の子なんて薦めたことのない彼女の意味深長な言葉の裏側に隠された気持ちに。
***
ネネちゃんが俺をおいて、他の奴のところに行ってしまうと言う。
今目の前には、他の男のために謝るネネちゃんがいる。
謝るなんて似合わないでしょ、ネネちゃんはいつだって自信満々でいてよ。
自信満々の崇高で気高い、俺の一番の女の子でいてよ。
「本当に…ごめ…」
「…大学2年のころから?」
謝り続けるネネちゃんにそう聞いたら、すごく驚いた顔をしていた。
「気づいて、た?」
「そんなに焦らないでよ。知らなかったけど、今思い返してみたらあの頃から雰囲気が優しくなったと思ったから。」
「そ、…か。」
それからネネちゃんは黙ってしまった。
俺もそれ以上は聞かなかった。
聞きたくなかったし。
このままネネちゃんのそばに居続けることができるのならば俺はそれでよかった。
沈黙の時間が、嫌いだ。
でも君とならその時間さえ愛しい。
だってネネちゃんが口を開いたって、もう未来永劫俺の望む言葉は聞けない、そうでしょ?
私は沈黙の時間さえ居心地がいい、そんな相手が好き。