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僕を見ない君が、

「え!?ネネちゃんが結婚するの!?」

「…。」

 

マサオ君にネネちゃんとのことを話しに行った。

直接的なことを言われて、認めたくなかった俺は黙ってしまった。

 

「そっかー。あの社会人の彼氏とネネちゃんが…。卒業と同時に結婚しようってプロポーズされたの?へーさすが社会人は違うなー。」

「それを断らないんだ、ネネちゃんは。だから…」

「だからネネちゃんの邪魔しようとしてるの…?」

 

不安そうにマサオ君は俺の顔を覗き込んだ。

 

「…そうしようと思ったけど。でもネネちゃんは言うんだ。」

 

『嫌いになって』

『悪いのは全部ネネだから』

 

そして最後に。

 

『本当に本当にネネはしんちゃんのことが好きなのよ』

 

だって。

 

 

そうだった。

俺が愛したネネちゃんは間違いなく、俺のことを愛してくれていた。

求めて、受け止めて、愛情を注いでくれた。

 

 

「ねえ、どうすればいいんだろう。大好きな娘が、俺のことを大好きでいてくれているのに。なんで報われないんだろう。俺はどうすればいいんだろう。」

「しんちゃん…」

「誰よりもネネちゃんのことを理解してるのは俺なのに、後から来たやつに掻っ攫われちゃったよ、マサオ君。俺も小さいころからの幼馴染じゃなく、成長してからネネちゃんを出会えばよかった。そしたらアイツにも負けないのに。いつネネちゃんに出逢ったって、俺はネネちゃんの全てを理解してあげられる、そんな自信があったのに。」

「しんちゃん…、ネネちゃんを楽にしてあげよう?大丈夫だよ。ネネちゃんが誰と一緒になったってネネちゃんはいつまでも僕たちのお姫様だよ。」

 

 

 

 

***

 

 

 

 

そして1年後。

俺たちは式場にいた。

もちろん結婚するのはネネちゃんとあの彼氏だった。

ネネちゃんとは幼稚園のころからの幼馴染ということもあって、控室に入れた。

あれ以来ネネちゃんとは会ってなかった。

新婦控室をノックをすると中からは1年ぶりの聞きなれた声。

 

「俺、だけど…入っていい?」

 

そう言って扉をあけると目の前には綺麗なドレスを着たネネちゃんがいた。

しっかりとお化粧までして、美人に磨きがかかっている。

 

「しん…ちゃん…。よかった、来てくれたのね。」

「うん。ネネちゃん久しぶりだね、すごく綺麗だぞ。」

「あら、ありがとう。まあネネは何着たって似合っちゃうからね。」

 

なんて言って、いつも通りのネネちゃんだ。

 

「マサオ君たちは?」

「一緒に来たよ。まだ下のロビーで待ってる。」

「そっか。来てくれてもよかったのに。それにしてもしんちゃんも何着ても似合っ…」

「ネネちゃん。」

 

いつものように他愛もない話をしに来たんじゃない。

俺には目の前の花嫁さんに伝えるべきことがあった。

 

「はい…。」

「1年間も会わなかったね。」

「そうね。」

「俺がいなくても大丈夫だった?寂しくなかった?」

「寂しくないと言えば嘘になるけど…でも、それでも彼と二人でこうして今日という幸せな日を迎えることができたわ。」

「そっか。俺もねいろんな子と付き合い始めたんだ。1年間ネネちゃんがいなくても生きていけるか試してみた。駄目だったら何が何でも、…ネネちゃんを連れ去ってでも他の奴のところになんか行かせないって、そう思ってたんだ。」

「それで…どうだったの?」

「うん、大丈夫そう。まだ時間はかかりそうだけど、俺に合った女の子はどこかに必ずいる気がする。」

「そう。よかったわね。」

 

そう言って少し寂しそうに、でも綺麗に笑うんだ。

それにしても数が多ければいいってもんじゃないのよ、なんて言っていたけど。

いろんな女の子と関わって、人と付き合う楽しさを感じている。

人はみんなそれぞれ違うからね。

…本当は俺は今でもどこかでネネちゃんの幻影を追っているのだけれど。

今すぐにでも連れ出して、と言われればやってのけてしまいそうなくらい俺の心はネネちゃんを思っているのだけれど。

それでも1年ぶりに会ったネネちゃんは、やっぱり幸せそうな雰囲気を持っていて。

これでよかったのだと、このままでいいのだと思えることができた。

全てはあの男に任せよう。

 

「ネネちゃん、ネネちゃんはいつまでも俺たちのお姫様でいてくれるって前にマサオ君が言ってたぞ。」

「あらそうなの?」

「それは本当?」

「ふふ。あたりまえじゃない。ネネはいつだって皆のお姫様でしょ?」

「よかった。じゃあさ最後にネネちゃんに伝えたいことがあったんだ。」

「ん?」

「ネネちゃん、大嫌いだよ。」

 

それはどの言葉よりも愛のこもった一言だった。

ネネちゃんの大きい瞳が一気に潤いを持ち始めた。

 

「し…ちゃ…」

「泣いちゃだめだぞ、これからが本番でしょ。」

「しん、ちゃ…あり、がと…。今まで貰ったどんなお祝いの言葉より嬉しい、よ。」

 

ネネちゃんの前に立ち、大粒の涙を拭ってあげた。

 

「ほら上向いて?メイクが崩れちゃうよ?」

「しんちゃん、私も…」

「ん?」

「私も、しんちゃんのこと大好…」

「違うでしょ?」

「…しんちゃんのこと、だいきら、い」

「うん。」

 

ありがとう、と言うかわりに口づけを。

 

「あ、これ、反則かな?」

「ふふ。大丈夫よ。ひみつね。」

「うん、これで最後だからね。」

「うん。」

 

そして本当に最後の口づけを。

それは今までのどんなキスより優しく甘く。

 

 

 

***

 

 

 

ネネちゃんは白いドレスを纏い、隣にはあの彼氏がいて。

二人並んで誓いの言葉なんて言っていた。

みんなの前でキスをした君は、アイツと見つめあって幸せそうに笑ってる。

 

 

 

 

僕を見ない君が、嫌いだ。

大嫌いな大好きな君。

 

 

終わった?

なんかテレビ見ながらばーっと書いたからまとまってるかどうかわからない…。

後日読み直して修正できるようならします。

 

しん→→→←ネネ(×オリキャラ)です。

ネネちゃんからも若干矢印が出てるのがポイント。

ネネちゃんサイドの番外編も1話だけ書きたい。