初めて聞いた声音

物心つく頃からずっとそばにいた。

だから知らないことなんてないと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ネネちゃんと付き合うようになって2週間くらいがたったころだった。

2週間といったって、ちゃんと告白をしてから2週間というだけであって

俺たちの絆はもっとずっと前から…10年以上前からのものだ。

いつから好きだったのか、なんてそんなことわからない。

でも気がつけばネネちゃんを守りたいって思っている自分がいて、

誰かに取られたり、俺から離れて行ってしまうんじゃないかって考えたらすごく嫌な気持ちになるようになった。

 

 

マサオ君に相談したら、ちゃんと言葉にして伝えれば良いと思うよ、と言われた。

だからネネちゃんに言ったんだ。

 

「俺はね、ネネちゃん。ネネちゃんのことずっと守っていたいなって思ってるんだ。」

「なによ、藪から棒に。それにネネは守られなきゃいけないほど弱い女の子じゃないわ。」

「ううん。強がってるけど、誰かに頼らないときっとぼろぼろになっちゃうと思う。それにね、俺はネネちゃんとずっと一緒にいたい。」

「…私たち防衛隊の5人はずっと一緒でしょ?」

「うーん…ずっとそばにいたいってこと。誰にもネネちゃんの隣を譲りたくないんだ。」

「だから、いきなりそんな話をされてもネネにはしんちゃんがなにを言いたいのか分からないわよ。つまりどういうこと?」

「つまり、好きだよってこと。」

「うん、ネネもしんちゃんのこと好きよ?」

「いやー…だから、ネネちゃんの好きはマサオ君に対しても言えることだろう?」

「うん。ボーちゃんも風間君も好きよ?あたりまえじゃない。」

「んー。どう言えばいいんだろう。だから…」

 

あまり言葉を紡ぐのは得意じゃない。

だから行動で示してみた。

 

「…」

「分かった?」

「いま…何したの?」

「キス。」

「え?ネネのこと好きなの?」

「うん、だからそう言ってるじゃん。」

「うそ…」

「ほんと」

「しんちゃんが…?ネネのこと…?」

「うん、好き。」

「嘘みたい…」

「嬉しい?迷惑?」

「しんちゃんも恋愛できるのね…」

「そっち…?」

 

軽くうなだれる。

俺を何だと思ってるの、この子は。

そもそも返事を聞きたいのに…。

溜息を吐こうとしたその瞬間。

俺の胸にネネちゃんが飛び込んできた。

 

「うそ。好きだよ。ネネもしんちゃんのこと、大好き。誰よりも、1番に。」

 

予想以上に嬉しかった。

 

「…しんちゃん?」

「もう1回、いって?」

「だいす、き」

 

そして俺はネネちゃんを抱き締めて、またキスをした。

 

 

 

 

それが2週間前の話。

そして今日はたまたま連れ込んだ俺の部屋にいた。

たまたま?

勿論「偶々」だ。

たまたま母ちゃんもひまわりも家にいなくって。

たまたまそういう雰囲気になっただけ。

 

 

最近暑くなってきたから、と母ちゃんが出してくれた扇風機が回ってる。

今部屋の中にはその扇風機の音と、ベッドシーツの衣擦れの音、それと俺たちの声だけがする空間になっていた。

 

「ん、はぁ…しん、ちゃん」

「ネネちゃん、すごく色っぽい声出すんだね」

「や…しんちゃ、んのせい…でしょ、んっ」

「大丈夫だよ、声我慢しなくても。家、誰もいないし。」

「いや…だ、て…はずかしい…んっ…もん」

 

そういいながら俺はどんどんネネちゃんの敏感なところを責めていく。

どこが一番感じやすいのか、色々考えてたけどそれもやめた。

俺だってそんな余裕ないから。

 

「そろそろ…いれるよ?」

「ん…」

「大丈夫、力抜いててね。こわくないから。」

 

そうやって月並みの言葉を並べて、俺は俺自身をゆっくりとネネちゃんの中に入れていく。

ぎゅっと瞑ったネネちゃんの目の端からは、涙がこぼれている。

 

「痛い?やめる?」

「だい、じょぶ…」

「じゃあもうちょっと我慢しててね。」

「うん」

 

そして俺は少しずつ律動をはじめた。

俺だけが気持ち良くなってもしょうがない。

ネネちゃんにも気持ち良くなってもらおうと、今繋がってるところの近くにある蕾をいじくる。

すると今日一番のいい声でネネちゃんが啼いた。

 

「あぁっ!んーっ…は」

 

やばい。

なにをどうしたのか、俺の頭によぎったことは、ただひとつ。

部屋の窓が開け放しだということ。

 

 

口より先に手が伸びた。

俺の手がネネちゃんの口をふさぐ。

ネネちゃんは少し苦しそうな、でも不思議そうな顔で俺を見る。

でも俺の下半身は動きを止めることはできなかった。

速さは先ほどよりも増し、あと少しでラストスパートをかけようかというところだった。

 

「ごめんネネちゃん、窓が開け放しだった…。」

 

本当はネネちゃんの可愛い声をもっと聞いていたいんだけど、外に響くとまずいし。

と、顔の近くで言うと、少し頬を赤らめて、ばかと言われた。

そして俺はネネちゃんの口を塞いだまま絶頂を迎えた。

時々掌に触れるネネちゃんの舌とか、息とかが気持ち良かったなんてことは秘密だけど。

 

でも俺はきっとずっと忘れないよ。

初めて聞いた君の声音

10年も前から知ってる君の、10年たってはじめて知れた一面。

その可愛い姿は誰にも見せちゃ駄目だからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ねぇネネちゃん、今度はちゃんと窓閉めるからさ。

そしたらまたその可愛い声聞かせてね。

 

「ばか。」

 

 

ただ最中に、ネネちゃんの口を塞ぐしんちゃんを書きたかっただけですw

前置きが長くてごめんなさい